仙台ナンバーの車

最近ときどきお見かけするお客さんだな、と思っていた女性客が今日はご家族で来店されていた。ご主人と小学校低学年のお嬢さんと小さな息子さんと一緒に。


お会計の際、レジ横に置いてあるパソコンのドイツ気象局による放射能拡散予報が気になっているようだったので少し説明して差し上げたところ、今から家族で仙台に帰るところだという。


ご夫婦の話をお聞きしていると、3月16日に仙台から四国まで車で避難してきたと。仙台を出発後、太平洋側の道路は使えないので日本海側を通り、途中足止めされながらもガソリンを給油しつつこちらまで逃れてきたのだそうだ。


この間、いろいろ情報を収集されていたのだろう、京都大学の小出さんのお名前もご存知だった。どうしても仙台に戻らなければならない事情があるのか、悩んだ末のことだとおっしゃっていたが、今から高松を出発するのだ。


短い時間だったが、私の知る限りの情報をお伝えした。放射能被曝を避けてくださいと。息子さんはお父さんの腕に抱かれて眠っている。奥様の言葉が印象的だった。「分かっているんですが、どうやら私たちは少数派のようで。。。でも、同じようにお考えの方がいて嬉しかったです。」


ご家族を見送る。ふと駐車場に目をやると仙台ナンバーの車。お嬢さんが、バイバイって手を振ってくれた。ご夫婦二人から「ありがとうございました。」と言われる。私は何も言葉を返せなかった。何と言っていいのか分からない。ただ深々と頭を下げる自分がいた。